定番のノイズ対策。レスポールジュニアに導電塗料を塗る方法とHowTo
ノイズ対策といえば導電塗料。
電気的に音を出力するエレキギターとノイズは切り離せないものですが、ジー…という嫌な音はギターのキャビティ(ザグリ)に導電塗料を塗ることで大幅に減らすことができます。
今回は、エピフォン レスポール ジュニアに導電塗料を塗ってノイズ対策してみたので、いつも僕がやっている導電塗料の塗り方やHowToをお届け。導電塗料を塗ると"ハイ落ち"すると言われていますが、個人的にあまり気にならないかなと。(もちろん人による)
ギターの導電塗料は水性で扱いやすい「ギターワークスの導電塗料」がおすすめです。超ヘビーユース。
レスポールジュニアに導電塗料を塗る方法とHowTo
レスポールジュニアに導電塗料を塗る方法とHowToについて見ていく前に、まずは「導電塗料」について簡単におさらい。
導電塗料とは、塗料樹脂に導電性のカーボングラファイトや金属酸化物の粉(銀粒子など)を混ぜ込み、電気を通す性質を持った塗料のこと。ギターやベースにおいては、導電塗料をキャビティやザグリに塗り、アースに落とすことで、ピックアップが拾う外来ノイズをググっと減らすことができます。
今回、僕がレスポールジュニアに導電塗料を塗る場所は「ピックアップキャビティ」「コントロールキャビティ」「ジャックキャビティ」の3か所。
#Tips |
ジャックキャビティはジャックのホット端子と導電塗料が接触しやすいため、慣れていない人は塗らないのがベター。導電塗料とホットが接触した場合は音が途切れたり、こもったような音になってストレスフル。 |
ギターに導電塗料を塗るために必要なものは以下の通りです。
- ギターワークス 水性導電塗料
- 塗装用の筆
- 塗装用 マスキングテープ
- はんだごてと音響用はんだ
- 配線の取り外し、取付で使用
- やすり
- アースラグと配線材(belden 8503を使用)
- プラスドライバー(マルチツールなど)
- アナログテスター(導通の確認で使用)
- 熱収縮チューブ (ジャックのザグリも塗る場合は必要)
- 両面導電性 銅箔テープ (あると良い)
必須なのは「導電塗料」と「塗装用の筆」、「塗装用 マスキングテープ」。それと配線の取り外し&取付で使う「はんだごて」と「はんだ」。
今回はジャックのキャビティにも導電塗料を塗るため、ジャックのホット端子と導電塗料を塗ったキャビティが接触しないように「熱収縮チューブ」を使用。「銅箔テープ」はコントロールキャビティのカバーに張り付ける用です。(アルミホイルで代用できる)
ちなみに、ギターの導電塗料は、ギターワークスの製品が水性で扱いやすく、ノイズ軽減効果も高くて圧倒的におすすめなので、初めて導電塗料塗る…って人もギターワークス製を選んでおけばとりあえず間違いなし。
ここからは、いくつかのステップに分けてレスポールジュニアに導電塗料を塗る方法について解説していきます。あくまでも僕が行っている方法ですが、初めて導電塗料塗るぜ!って人はぜひ参考に。
Step1:弦、配線、ピックアップをすべて外す
まずはStep1。弦を外し、コントロールのカバーやジャックカバー、配線のアッセンブリなどをすべて取り外す。
配線の長さにもよりますが…アッセンブリの配線は、ポットのノブとナットを先に取り外し、少し持ち上げた状態で取り外すと簡単。ジャックの配線を外すこともお忘れなくです。※配線の取り外しに"はんだごて"を使用。
レスポールジュニアの場合、コントロールキャビティ内にはピックアップの配線とブリッジアンカーから伸びるアース線が残るかと思うのですが、この状態が正解。
最後に、レスポールジュニアのピックアップ(ドッグイヤー型 P90)のカバーを取り外し、ピックアップも外しておきます。
取り外したアッセンブリは安全な場所に退避。
Step3:簡単にやすりをかける
レスポールジュニアの配線をすべて取り外し、キャビティ内の線が“ブリッジアンカーから伸びるアース線"だけになったら、アース線を傷つけないように簡単にやすり掛け。(アース線はマスキングテープで保護しておくといいかも)
使用するのは「耐水やすり」でも「紙やすり」でも「スポンジやすり」でもいいですが、目の粗さは240番 → 1000番くらいまで順番にかけてやると綺麗に仕上がります。(面倒くせぇ…って人は600番くらいで素地を馴らすくらいで良いかと)
Step4:必要な場合はマスキングテープで保護する
僕はかなりざっくり作業したので、マスキングテープで保護したのはポットの穴とコントロールキャビティのみ。マスキングしない人もポットの穴は保護しておかないと、導電塗料が垂れて大変なことになるのでご注意を。
Step5:導電塗料を塗る
必要な部分をマスキングテープで保護したら、導電塗料を塗布していきます。※ギターワークスの導電塗料はカーボンが沈殿するため、使用前によく振っておくこと。振っておかないと仕上がりにムラが出ます。
導電塗料は重ね塗りすることで効果を発揮するため、インターバールは2-3時間ごと。表面の塗料が十分乾いていることを確認してから、計3回の重ね塗りをしていきます。
3回の重ね塗りなので、そんなに厚塗りしなくてOKです。
#Tips |
ギターワークスの導電塗料は水性なので、はみ出してしまった部分は"塗れたティッシュ"で拭き取るだけで取れます。50ccの場合、ストラトのキャビティに2回塗りで約3台ぶん塗れる量があります。 |
僕の場合、ジャックのキャビティに導電塗料を塗る時は、画像のように少しはみ出した状態で塗りますが、理由はジャックカバーの背面にアルミホイルまたは銅箔テープを張り付けて完全にシャットアウトするため。
導電塗料を塗ったあとは、2-3日ほど乾かしておきましょう。
Step6:キャビティ内にアースを落とす
導電塗料が完全に乾いたら、キャビティ内に"アースラグ“を取り付けていきます。※導電塗料にアースを落とさないとノイズが減らないどころか、逆に増えて無意味になるので要注意。
エピフォン レスポール ジュニアはキャビティ内が狭く、配線の余裕があまりなかったため、アース線はコントロールキャビティ → ピックアップキャビティ → ポットの順番で取り回ししています。
写真を撮り忘れたので、フライングVの画像になりますが…アースラグのハンダ付けはこんな感じ。
アースラグにはあらかじめ配線をはんだ付けしておきましょう。今回のようにコントロールキャビティとピックアップキャビティが離れている場合は、1つのアースラグにまとめてはんだ付けします。
#Tips |
必ず導電塗料からアースを取ることをお忘れなく。最終的にアース線を繋げるポットは、ピックアップなどの"コールド線"がはんだ付けされたポットでOKですが、ポット同士が繋がっている場合はどちらでもOK。 |
Step7:ジャックに熱収縮チューブを被せ、プレートにアルミを張る
キャビティ内の導電塗料にアースを落としたら、最後の仕上げ。僕のようにジャックキャビティ内にも導電塗料を塗った場合は、ジャックのホット端子が導電塗料と接触しないように「熱収縮チューブ」を被せておきます。
これはあくまでも"僕の場合"ですが…ジャックのホット端子側に「ちょうどいいサイズに切った熱収縮チューブ」を両面テープで張ることもあります。(僕のギターは大抵この方法ですが、結構安定してる)
エピフォン レスポール ジュニアのジャックプレートはプラスチックなので、裏面にアルミホイルを両面テープで張り付けて完了です。両面テープは厚みが出るので、気になる人は銅箔テープがおすすめ。
ギターワークス 水性導電塗料の仕様
名称 | ギターワークス 水性導電塗料 Shielding Paint |
主成分 | 導電性カーボングラファイト 水性 |
対応塗料 | ポリ/ラッカー |
色 | 黒色 |
抵抗値 | 20Ω/sq (@25μm) |
容量 | 50cc (ストラトのキャビティ2回塗りで約3台分) |
価格 | 2,180円(Amazon) |
最後に導通を確認して完了!
最後に、アナログテスターを用いて導電塗料の導通を確認し、目盛りが動けば完了。各キャビティ(コントロール/ピックアップ/ジャック)のアースが繋がっているかも確認しておきましょう。
導通の確認が取れたら、アッセンブリやピックアップ、ジャックを配線して、はんだづけして…元通りにしたら作業は終わり。お疲れさまでした。
導電塗料を塗るだけで、ジー…となっていたノイズは大幅に削減。導電塗料はノイズを減らしたい時に最も安価かつ簡単に出来る方法だと思うので、気になっている人はこの機会にぜひ。
特にP90やシングルコイルピックアップに効果的です。何かしらの参考になれば!